宅地建物取引業~自ら売主となる場合の8つの制限④~

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

 

今回も引き続き、宅建業者が自ら売主となる場合の制限に関するお話しをいたします。

 

[目次]

 

制限④:手付の制限

◆さいごに

〇制限④:手付の制限

宅建業法では、宅建業者が自ら売主となる場合には、手付の額にも制限等が定められています。

<第39条>

宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない

2 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない

3 前項の規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とする。

 

「手付」とは、契約締結の際、当事者の一方から相手方に対して交付される金銭(代金に充当される)のことをいいますが、手付が交付される目的は様々です。

主要な手付の種類としては以下のものが挙げられます。

①解約手付

契約の両当事者に解除権を保留し、解除権を行使した場合の損害賠償額となる手付。

②証約手付

契約成立の証拠として交付される手付。※放棄・倍額返還による解除はできない。

③違約手付

契約上の債務を履行しない場合に、違約として没収されることとなる手付。

民法では手付について以下の通り定められており、第一項より、手付は解約手付と推定されています。

<第557条>

買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない

2 第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない。

 

宅建業法・民法どちらも、手付を放棄し倍額を“現実に提供して”という文言になっておりますが、民法改正前は“償還して”という文言でした。

現行法においては、「単に口頭により手付けの倍額を償還する旨を告げその受領を催告するのみでは足りず、買主に現実の提供をすることを要するものというべきである。(最高裁平成6322日第三小法廷判決)」との判例を踏まえて改められました。

解約手付は、買主は手付を放棄すれば契約を解除することができ、売主は手付の倍額を返せば契約を解除することができます。

宅建業法では、“その手付がいかなる性質のものであっても”とある通り、宅建業者が自ら売主となり、一般消費者を買主とする宅地建物の売買契約締結の際に受領した手付は常に解約手付とみなされ、これは例え当事者間で証約手付であると決めたとしても解約手付とみなされることになります。(買主の解除権を保証する為)

しかし、いくら手付放棄により解除権が保証されていても、手付の額があまりにも大きい場合、買主は手付放棄を躊躇してしまうこと等が考えられ、思うように解除ができなくなる恐れがあります。

その為、宅建業者が一般消費者である買主から受領可能な手付の額は「代金の20%が限度」とされています。

例えば、2,000万円の物件の売買契約を行った場合、宅建業者は400万円を超える手付は受領ができません。

また、手付に関する特約で、買主に不利なものは無効となる点にも注意が必要です。

尚、宅建業法・民法どちらも共通して“相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない”と定められています。

つまり、売主が物件の引渡しや所有権移転登記を済ませた場合には買主は手付放棄による解除はできず、買主が中間金の支払いや代金全額を支払った場合には売主は手付の倍返しによる解除はできません。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

買主の契約履行の着手例としては、引っ越し業者との契約など、新居の入居を前提として行われる付随契約行為が含まれますが、住宅ローンの申し込みについては履行の着手には該当しません。

また、前回お話しした手付金等保全措置では中間金は手付金等の対象として含まれていましたが、契約履行の着手においては、手付金の支払いは含まれませんので、混合しないように注意しましょう。

 

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