分割対象となる遺産の範囲

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

相続における分割対象となる遺産とは、どこまでが該当となるのかご存知でしょうか。

今回は、遺産の範囲について説明いたします。

 

[目次]

 

◆分割対象となる遺産とは

◆遺産の分類

◆さいごに 

〇分割対象となる遺産とは

遺産分割の対象となる遺産は、原則として

①被相続人が相続開始時に所有し、

②現在(分割時)も存在する、

③未分割の、

④積極財産(相続の際にプラスとなる財産のこと。現金預金、不動産、有価証券、売掛金など)

のことを言います。

例えば、以前お話した遺産分割前に処分された被相続人の財産は、②現在(分割時)も存在する、の要件を欠いていた為、平成30年の相続法改正前は、処分をした当事者も含む当事者全員の同意がなければ遺産分割の対象とすることができませんでした。

現在は、民法第906条の2に定められている通り、遺産分割前に処分をした当事者以外の当事者の合意があれば、処分をした当事者の同意は不要で遺産分割の対象とすることができるようになっています。

 

〇遺産の分類

遺産は、以下の3つに分類することができます。

(1)当然に分割対象となるもの

   上記①または④の要件を満たすものが該当となります。

   具体例:預貯金、現金、有価証券、土地、建物、借地権、投資信託など

(2)当事者全員の合意があれば分割対象とできるもの ※調停・審判で扱う事も可能

   上記①または④いずれかの要件を欠くものが該当となります。

   具体例:立替金、相続開始後の利息や賃料債権、不当利得・不法行為債権(使途不明金)など

(3)当事者が調停手続きで協議を行い、一定の合意は可能であるものの、当事者の合意があっても審判手続きにおいて分割の対象とはならないもの

   具体例:相続債務、葬儀費用、遺産管理費用など

 

民法第906条の2の対象となるのは、“遺産分割前に処分された被相続人の財産”であり、“相続開始前の被相続人の財産の処分”は該当となりません。

相続開始前の被相続人の財産の処分”、例えば預貯金の払い出しは、使途不明金問題等として取り扱うことになり、上記の分類では(2)に該当します。

「使途不明金」とは、支出先と支出額が明らかであるものの、使い道がわからない支出のことをいい、簡単に説明すると、何に使ったのかがわからない費用のことをいいます。

使途不明金は本来、遺産分割の対象ではありません。

しかし、被相続人と同居していた当事者がいた場合に、預貯金の払い出し等を行なった当事者は、他の相続人から見ると先に遺産を取得している・多く取得していると考えられ、同居していた払い出しを行なった当事者からすると、その預貯金は被相続人の生活費や通院・治療費等であったり、被相続人と同居し面倒を見てきた対価として一部の受け取りは問題ないと考えるなど、遺産範囲の確定で大きな争いとなることも多いようです。

このように使途不明金問題は、遺産分割の本来の対象とは言えずとも、相続人間において強い関心を寄せる事案であり、場合によっては調停での合意、もしくは、感情的な対立が激しく合意に至らない場合などには民事訴訟等の手続きによって解決を目指すことになります。

<当事者全員で合意した場合>

当事者全員の合意により「遺産分割の対象」として、以下のような取り扱いが可能となります。

❶既に預貯金を取得したものとして、相続分・具体的相続分を計算。

➋一定額の現金を保管しているとして、これを分割対象にする。

➌被相続人からの贈与と認められるとして、特別受益があるとの前提で具体的相続分を計算。

<当事者間で合意できない場合>

当事者全員で合意できない場合は、遺産分割の問題とは切り離され、「不当利得返還請求訴訟」や「損害賠償請求訴訟」などといった民事訴訟で解決を目指します。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

上記の通り、遺産分割の対象となる遺産には要件があり、もし要件を欠く場合であっても遺産分割対象とできる場合があるもの、審判によっても分割の対象とできないものがあります。

使途不明金は、“使途”について当事者全員が認めた場合には、遺産分割問題や民事訴訟等の手続きに発展しないことももちろんあります。

しかし、使途不明金の額が多い場合や相続人同士の関係性が良好でない場合などには、公平な分割が実現できずに、相続人同士の間で不満が生まれトラブルにも繋がってしまうことになりますので、注意が必要となります。

 

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