配偶者短期居住権①

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

平成30年の民法改正では、「配偶者居住権」と同時に「配偶者短期居住権」についても新設がされました。

今回は、「配偶者短期居住権」についてご説明いたします。

 

[目次]

 

◆配偶者短期居住権とは

◆配偶者短期居住権取得の要件

◆さいごに

〇配偶者短期居住権とは

配偶者居住権」でご説明したとおり、被相続人が死亡した後、配偶者は高齢であれば高齢である程、住み慣れた住環境を離れ、新たな生活を開始するというのは肉体的・精神的・経済的に大きな負担となることから、これまで居住してきた建物に引き続き住み続けたいと希望することが多いかと思います。

しかし、従前は「共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情のない限り、被相続人と右の相続人との間において、右建物について、相続開始時を始期とし、遺産分割時を終期とする使用貸借契約が成立していたものと推認される。(最判平成8年12月17日)」とされており、被相続人所有の居住建物が第三者に遺贈された場合や、被相続人との夫婦関係が良好ではなかった場合などに被相続人が、配偶者が当該建物に居住し続けることに対し反対の意思を表示した場合には、配偶者の居住が保護されないということがありました。

そこで、平成30年の民法改正で「配偶者居住権」と共に「配偶者短期居住権」が新設され、例え前述したような場合であっても、被相続人の配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には、最低6か月間は居住建物を無償で使用することが可能となりました。

配偶者短期居住権は、令和2年4月1日以降に開始された相続および遺贈について適用されます。

 

〇配偶者短期居住権取得の要件

配偶者短期居住権については、民法で以下のように定められています。

<第1037条> 

配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下この節において「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利。以下この節において「配偶者短期居住権」という。)を有する。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は第891条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでない。

一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6箇月を経過する日のいずれか遅い日

二 前号に掲げる場合以外の場合 第3項の申入れの日から6箇月を経過する日

2 前項本文の場合においては、居住建物取得者は、第三者に対する居住建物の譲渡その他の方法により配偶者の居住建物の使用を妨げてはならない。

3 居住建物取得者は、第1項第一号に掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができる。

 

~要件~

〇配偶者が被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していること

 

配偶者短期居住権の取得の要件は、上記の通り難しいものではありません。

しかし、配偶者居住権の場合と異なり、配偶者の居住が保護される期間は短く、最短の場合は6か月までしか保護されません。

 

~存続期間~

①配偶者が居住していた建物が、配偶者を含む共同相続人間で遺産分割される場合

・相続開始時から、遺産分割により居住建物の帰属(分割)が確定した日

・相続開始時から6か月を経過する日

上記いずれかの遅い日までの間、居住していた建物を無償で使用することが可能。

②遺言や遺贈、死因贈与で配偶者以外が居住建物を取得した場合や配偶者が相続放棄した場合(①以外の場合)

居住建物を取得した者が配偶者に対し、配偶者短期居住権の消滅を申し入れた日から6か月を経過する日まで、居住していた建物を無償で使用することが可能。(居住建物の取得者はいつでも配偶者短期居住権の消滅の申し入れが可能)

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

配偶者居住権では建物の“使用収益”が認められる点と異なり、配偶者短期居住権では建物の“使用”のみが認められています。

その為、建物が店舗兼自宅として店舗部分を賃貸しているような場合には、建物の所有権を取得した者に対し、その収益を渡すことになります。

“収益”を得ることまでは認められていない点にご注意ください。

 

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