宅地建物取引業~自ら売主となる場合の8つの制限⑧~

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

 

今回は、宅建業者が自ら売主となる場合の8つの制限のうち、最後の8つ目の制限についてお話しをいたします。

 

 

[目次]

 

制限⑧:所有権留保の制限

◆さいごに

〇制限⑧:所有権留保の制限

まず所有権留保とは、売主が売買代金を担保するため、買主から代金の弁済がされるまで、引き渡しを終えた売買の目的物の所有権を留保することをいいます。

前回お話しした割賦販売やローンの場合において、売買契約により売主は買主に対し、売買代金債権を得ることになりますが、買主が代金を完済する前に逃亡等をした場合には、売買代金債権が回収できなくなる、という恐れがあります。

そこで、売主は所有権を留保することにより、仮に買主が代金を支払わない場合(弁済期が経過した場合)には、契約の解除をすることで、目的物の回収・処分が自由にできるようになります。

処分の具体例として、売主は、売買の目的物を新たに第三者に売却することなどが可能です。

しかし、いつまでも所有権が留保され、登記を移転してもらえないとなると買主は不安になります。

その為、宅建業法では所有権留保等の禁止として、以下のとおり定められています。

<第43条>

宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地又は建物の割賦販売を行なつた場合には、当該割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡すまで(当該宅地又は建物を引き渡すまでに代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けていない場合にあつては、代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けるまで)に、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない。ただし、買主が、当該宅地又は建物につき所有権の登記をした後の代金債務について、これを担保するための抵当権若しくは不動産売買の先取特権の登記を申請し、又はこれを保証する保証人を立てる見込みがないときは、この限りでない。

2 宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地又は建物の割賦販売を行なつた場合において、当該割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡し、かつ、代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けた後は、担保の目的で当該宅地又は建物を譲り受けてはならない。

3 宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地又は建物の売買を行なつた場合において、代金の全部又は一部に充てるための買主の金銭の借入れで、当該宅地又は建物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して返還することを条件とするものに係る債務を保証したときは、当該宅地又は建物を買主に引き渡すまで(当該宅地又は建物を引き渡すまでに受領した代金の額から当該保証に係る債務で当該宅地又は建物を引き渡すまでに弁済されていないものの額を控除した額が代金の額の十分の三をこえていない場合にあつては、受領した代金の額から当該保証に係る債務で弁済されていないものの額を控除した額が代金の額の十分の三をこえるまで)に、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない。ただし、宅地建物取引業者が当該保証債務を履行した場合に取得する求償権及び当該宅地又は建物につき買主が所有権の登記をした後の代金債権について、買主が、これを担保するための抵当権若しくは不動産売買の先取特権の登記を申請し、又はこれを保証する保証人を立てる見込みがないときは、この限りでない。

4 宅地建物取引業者は、自ら売主として宅地又は建物の売買を行なつた場合において、当該宅地又は建物の代金の全部又は一部に充てるための買主の金銭の借入れで、当該宅地又は建物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して返還することを条件とするものに係る債務を保証したときは、当該売買に係る宅地又は建物を買主に引き渡し、かつ、受領した代金の額から当該保証に係る債務で弁済されていないものの額を控除した額が代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けた後は、担保の目的で当該宅地又は建物を譲り受けてはならない。

 

つまり、宅建業者が自ら売主となって、一般消費者である買主に割賦販売を行った場合、受け取る金額が代金の30%以下であれば所有権を留保しても問題ありませんが、30%を超える支払いを受けた場合には登記等の売主の義務を履行する必要があるということです。

ただし、例外として宅建業者が代金の30%を超える支払を受けた場合でも、買主が残代金の担保の為、抵当権の登記申請をしたり、保証人を立てる見込みがないときは、宅建業者は所有権を留保しても問題ないとされています。

 

~解除との違い~

買主が売買代金債権に対し弁済を行わない場合、売主は所有権の留保よりも、買主の債務不履行による解除をすべきではないかと考える方もいるかもしれません。

この場合も、目的物の所有権は売主に移転し、目的物の回収も可能です。

しかし、民法では解除の効果として、以下のように定められています。

<第545条>

当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない

2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。

3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。

4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。

 

第一項に掲げられている通り、解除をしたとしても「第三者の権利を害することはできない」為、仮に買主が既に第三者に目的物を転売したような場合には、売主は解除第三者に対抗することができず、目的物の返還請求ができなくなってしまうのです。

その一方で、所有権を留保した場合には、売買代金の支払いが終わるまでは所有権は買主ではなく売主にありますので、仮に買主が第三者に目的物を転売したような場合であっても、売主は目的物の返還請求が可能となります。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

これまでご説明してきた通り、宅建業者が自ら売主となる取引においては、一般消費者である買主保護の為に様々な制限が課されています。

民法の規定と抵触する内容のものもありますので、しっかりと確認し、正しい取引を行いましょう。

 

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