建設業許可~請負契約について~
札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。
本日は、建設工事における請負契約についてご説明いたします。
[目次]
◆建設工事の請負
◆建設工事請負契約書について
◆さいごに
〇建設工事の請負
請負とは、民法で以下の通り定められています。
<第632条>
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
この請負と類似の概念として、「雇用」や「委任」があります。
<第623条>
雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。
<第643条>
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
上記の通り、雇用は、仕事の完成についてのリスクを負担するものではなく、委任は、仕事の完成がなくても履行の割合に応じて報酬を請求することができるものとされており、仕事の完成を内容とする請負とは異なります。
しかし、実際に締結される契約は、建設工事の完成を目的とするものであっても、必ずしも請負という名義を用いていない場合もあります。
建設業法では、脱法行為を防ぐ目的で、雇用、委任、委託等、いかなる名義を用いるものであっても、実質的に報酬を得て建設行為の完成を目的として締結する契約は、すべて建設工事の請負契約とみなして建設業法を適用することとしています。
また、売買契約と請負契約の混合契約と考えられる、いわゆる製作物供給契約により建設工事の完成を約する場合も、建設工事の請負契約に該当すると解釈されています。
〇建設工事請負契約書について
建設工事請負契約書に記載すべき事項として、建設業法では以下の通り定められています。
<第19条>
建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
一 工事内容
二 請負代金の額
三 工事着手の時期及び工事完成の時期
四 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
五 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
六 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
七 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
八 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
九 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
十 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
十一 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
十二 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
十三 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
十四 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
十五 契約に関する紛争の解決方法
十六 その他国土交通省令で定める事項
2 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
3 建設工事の請負契約の当事者は、前二項の規定による措置に代えて、政令で定めるところにより、当該契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて、当該各項の規定による措置に準ずるものとして国土交通省令で定めるものを講ずることができる。この場合において、当該国土交通省令で定める措置を講じた者は、当該各項の規定による措置を講じたものとみなす。
また、上記第1項に掲げる事項に該当するものを変更する時は、その内容を書面に記載し、署名又は記名押印して相互に交換が必要です。
〇さいごに
いかがでしたでしょうか。
建設工事請負契約書は、例えば、少額で簡単な追加工事であっても、書面による契約書の作成についての例外は一切認められておりません。
必ず変更契約書の作成が必要となりますので、軽微だからと省略することのないよう十分ご注意ください。
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