宅地建物取引業~自ら売主となる場合の8つの制限②~

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

 

今回は、前回に引き続き、宅建業者が自ら売主となる場合の制限に関するお話しをいたします。

 

[目次]

 

制限②:自己の所有に属さない物件の売買の制限

◆さいごに

〇制限②:自己の所有に属さない物件の売買の制限

「自己の所有に属さない物件の売買」とは、“他人の物件”“未完成物件の売買が該当となります。

民法では、他人の権利の売買における売主の義務として、以下のように定められています。

<第561条>

他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。

 

つまり、民法では他人の物件の売買自体は禁止されておらず、有効に売買が可能であるということになります。(ただし、売主は他人の物件を取得し、買主に移転するという義務(権利取得移転義務)を負う)

しかし、もしも売主である宅建業者が他人の物件の所有権を取得することができなかった場合、売買契約を締結した買主である一般消費者は、その物件の所有権を取得することができず損害を受けることになります。

そこで、宅建業法では以下の通り、自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限について定められています。

<第33条の2>

宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

一 宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得する契約(予約を含み、その効力の発生が条件に係るものを除く。)を締結しているときその他宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得できることが明らかな場合で国土交通省令・内閣府令で定めるとき。

二 当該宅地又は建物の売買が第四十一条第一項に規定する売買に該当する場合で当該売買に関して同項第一号又は第二号に掲げる措置が講じられているとき

 

上記の通り、宅建業法では原則として、宅建業者が自ら売主となる他人の物件の売買および予約について禁止されています

このように民法と宅建業法の内容が抵触する場合は、宅建業法が優先されることになっています。

ただし、例外として、宅建業者が他人の物件を取得する「契約」をしている場合、また「予約」を締結している場合は、その物件を確実に取得できると考えられる為、他人の物件であっても宅建業者は自ら売主となり一般消費者を買主とする売買契約を有効に締結することが可能とされています。

尚、宅建業法第33条の2第一項の「予約を含み、その効力の発生が条件に係るもの」とは所謂「停止条件付契約」のことをいいます。

「停止条件付契約」とは、その条件が成就した時から法律上の効力を生じる契約のことをいい、わかりやすい例えでいうと、対象物件の現所有者(他人)が“転勤となった場合に売る”という条件で宅建業者と売買契約を締結した場合です。

売買契約を締結した段階では、法律上の効果は生じず、転勤となった場合に法律上の効果が生じ、宅建業者は対象物件を取得することが可能です。

しかし、対象物件の現所有者(他人)が転勤になるかならないか、つまり、宅建業者が対象物件を取得できるかどうかは不確実です。

その為、停止条件付契約については例外に含まれていません。

ちなみに、例外の“宅建業者が他人の物件を取得する「契約」をしている場合”は、現所有者(他人)から売主となる宅建業者への所有権移転を経由せず、現所有者(他人)から一般消費者である買主にいきなり所有権を移転する契約でも良いとされています。

次に、未完成物件の売買についてですが、業務上の規制でご説明した通り、建物の場合は「建築確認」、宅地の場合は「開発許可」、その他津波防災地域づくりに関する法律の許可でなければ広告や契約(予約を含む)をしてはならないとされています。

しかし、宅建業者が未完成物件について自ら売主となる場合は、建築確認等の許可を得た後であれば、それだけで一般消費者との売買契約を締結することが可能、ということにはなりません。

建築確認等の許可を得た後であっても、自ら売主となる宅建業者の資金繰りが悪化し、売買契約を締結した物件を完成させることができなかった場合、買主はその物件を手に入れることはできません。

宅建業者の債務不履行を理由として、売買契約を解除すること自体は可能ですが、買主が手付金を支払っていた場合、資金繰りが悪化した宅建業者が手付金の返還請求に応じることができる可能性は低いと考えられます。

その為、原則として、宅建業者は自ら売主となる未完成物件の売買が禁止されています。

ただし、例外として、「手付金等保全措置」をとった場合は、買主は確実に手付金の返還を受けることができるとされる為、未完成物件であっても宅建業者は自ら売主となり売買契約を締結することが可能です。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

宅建業者が自ら売主となり自己の所有に属さない物件の“売買”(他人の物件および未完成物件)については原則として禁止されているものの、“代理”や“媒介”については禁止されていません。

また、宅建業者同士の取引については適用はありませんので、ご注意ください。

 

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