宅地建物取引業~業務上の規制~

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

 

今回は、宅地建物取引業の業務上の規制について、いくつかご説明いたします。

 

[目次]

 

◆業務上の規制

①従業者の教育(第31条の2)

②誇大広告等の禁止(第32条)

③取引態様の明示(第34条)

④広告の開始・契約締結等の時期の制限(第33条・第36条)

⑤不当な履行遅延の禁止(第44条)

⑥秘密を守る義務(第45条)

⑦業務に関する禁止事項(第47条・第47条の2)

◆さいごに

〇業務上の規制

「宅地建物取引業者は、取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければない(第31条)」とされており、宅地建物取引業法にて業務上規制されることについて定められています。

規制事項について、いくつかご紹介します。

①従業者の教育(第31条の2)

宅地建物取引業者は、その従業者に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うよう努めなければならない、と定められています。

「努めなければならない」とは努力義務であり、必ず行わなければならないということではありません。

②誇大広告等の禁止(第32条)

宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない、と定められています。

広告の際に「物件・環境・代金」に関して、著しく事実に相違する表示や実際よりも著しく優良・有利と誤解させるような表示は禁止されており、違反した場合は業務停止処分となります。

「広告」は新聞・チラシ・テレビ・HP・SNSなど、全ての広告が対象となり、所謂“おとり広告”と呼ばれる行為についても誇大広告として取り扱われます。

また、将来の環境等について“予想”に過ぎない旨を注記したり、“実害”が発生しなかった場合であっても誇大広告となる点に注意が必要です。

③取引態様の明示(第34条)

宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするときは、自己が契約の当事者となつて当該売買若しくは交換を成立させるか、代理人として当該売買、交換若しくは貸借を成立させるか、又は媒介して当該売買、交換若しくは貸借を成立させるかの別(次項において「取引態様の別」という。)を明示しなければならない。

2 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する注文を受けたときは、遅滞なく、その注文をした者に対し、取引態様の別を明らかにしなければならない、と定められています。

取引の態様とは、宅建業の取引に該当する下記〇部分の8種類です。

これらの態様を明らかにしなかったことにより、顧客は宅建業者の自社物件の分譲だと思い取引したが、実際には宅建業者が他人の物件の売買の媒介をしていたに過ぎなかった場合、予定していなかった媒介報酬を請求されるなど、トラブルが生じることになります。

宅建業者は、広告のとき及び注文を受けたときにも重ねて取引態様を明示しなければならず、例え顧客から尋ねられなかったとしても自主的に明示する必要があります。

明示の方法は規定されておらず、口頭であっても文書であってもかまいません。

④広告の開始・契約締結等の時期の制限(第33条・第36条)

宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。

宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条第一項又は第二項の許可、建築基準法第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあつた後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物につき、自ら当事者として、若しくは当事者を代理してその売買若しくは交換の契約を締結し、又はその売買若しくは交換の媒介をしてはならない、と定められています。

まだ建築されていない建物やまだ造成されていない宅地のことを未完成物件といいますが、この未完成物件を取引した場合、完成物件に比べトラブルの発生が高まります。

その為、未完成物件においては建物の場合は「建築確認」、宅地の場合は「開発許可」、その他津波防災地域づくりに関する法律の許可の後でなければ広告・契約をしてはならないとされています。

例えば「建築確認申請中」などと注記したとしても、実際に建築確認を受けた後でない場合は、広告してはいけません。

ただし、「貸借契約」の代理媒介のみは建築確認・開発許可等のでも可能とされています。

尚、「契約」には「予約」も含まれます。

⑤不当な履行遅延の禁止(第44条)

宅地建物取引業者は、その業務に関してなすべき宅地若しくは建物の登記若しくは引渡し又は取引に係る対価の支払を不当に遅延する行為をしてはならない、と定められています。

やむを得ない正当な理由がある場合を除き、登記・引き渡し・代金の支払いはすみやかに履行が必要です。

⑥秘密を守る義務(第45条)

宅地建物取引業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。宅地建物取引業を営まなくなつた後であつても、また同様とする、と定められています。

宅建業者だけではなく、従業者にも守秘義務があり、それは引退・退職後も続きます。

⑦業務に関する禁止事項(第47条・第47条の2)

宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

一 宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為

イ 第三十五条第一項各号又は第二項各号に掲げる事項

ロ 第三十五条の二各号に掲げる事項

ハ 第三十七条第一項各号又は第二項各号(第一号を除く。)に掲げる事項

ニ イからハまでに掲げるもののほか、宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であつて、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの

二 不当に高額の報酬を要求する行為

三 手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為

宅地建物取引業者又はその代理人、使用人その他の従業者(以下この条において「宅地建物取引業者等」という。)は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。

2 宅地建物取引業者等は、宅地建物取引業に係る契約を締結させ、又は宅地建物取引業に係る契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、宅地建物取引業者の相手方等を威迫してはならない。

3 宅地建物取引業者等は、前二項に定めるもののほか、宅地建物取引業に係る契約の締結に関する行為又は申込みの撤回若しくは解除の妨げに関する行為であつて、第三十五条第一項第十四号イに規定する宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に欠けるものとして国土交通省令・内閣府令で定めるもの及びその他の宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。

宅建業者は、顧客に故意に嘘をついたり、故意に黙秘することが禁止されており、違反すると契約の取り消しのみならず、懲役に処せられることもあります。

また、「必ず値上がりする」「高層ビルの建設予定は全くない」など断定的判断の提供をしてはならず、嘘や黙秘した場合とは異なり、“故意”ではなく“過失”であっても違法となります。

その他、顧客を威迫すること、手付放棄による解除に応じなかったり違約金を要求すること等、禁止事項は多数存在します。

そして、手付金の貸与も禁止されています。

例え顧客が承諾していたとしても、手付貸与により契約の勧誘をしてはならず、実際に契約が成立しなかった場合であっても、勧誘しただけで業務停止処分となります。

尚、貸与だけでなく、手付金の分割後払いも禁止されていますが、手付金の減額や銀行等を斡旋する行為については禁止されていません。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

営業保証金弁済業務保証金の還付など、宅建業者間の取引については該当となりませんでしたが、これらの業務上の規制は宅建業者間の取引においても適用となります。

顧客が宅建業者であっても、違反すると業務停止処分等を受けることになりますので、ご注意ください。

 

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