株式譲渡自由の原則と例外

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、株式譲渡の自由の原則及びその例外についてご説明いたします。

 

[目次]

 

◆株式譲渡自由の原則

◆株式譲渡自由の原則の例外

◆さいごに

〇株式譲渡自由の原則

株式譲渡とは、譲渡対象企業の株主が保有する株式を譲受先に売却し経営権が引き継がれるなど、法律行為により、株主の地位を移転することをいいます。

会社の財産的基盤を確保しつつ、株主の投下資本の回収手段として、株式の自由な譲渡を認める必要がある(原則として出資の払戻しが認められていない)ことから、株式譲渡は原則として自由とされています。

株式譲渡契約は、当事者の合意のみで効力が発生し、株券の発行がされている場合には売主は買主に株券の引渡しを行いますが、株券不発行会社である場合には株券の交付は不要です。

ただし、株式譲渡の効力の発生後も、権利行使の為には株主名簿の名義書き換えが必要であり、名義書き換えがなされない限り、当該株式会社及び株券不発行会社においては第三者に対し、対抗することはできない点に注意が必要です。

 

〇株式譲渡自由の原則の例外

株式譲渡自由の原則の例外として、定款による譲渡制限、法律による譲渡制限の規定が設けられています。

1⃣定款による譲渡制限

株式会社は、発行する全部又は一部の株式の内容として、譲渡による当該株式の取得について、会社の承認を要する旨を定款に定めることができ、このような株式のことを「譲渡制限株式」といいます。

少人数の親族や知人によって小規模かつ閉鎖的に経営されているような株式会社の場合、株主の個性が会社経営に影響を及ぼすことが多く、好ましくない者の経営への参加を拒否し、会社経営の安定を図る必要があることから、譲渡制限株式の制度が存在しています。

発行する一部の株式について譲渡制限を設けている会社又は発行する全部の株式について譲渡制限を設けていない株式会社は公開会社と呼ばれ、比較的大きめの会社であることが多く、発行する全部の株式について譲渡制限を設けている株式会社は非公開会社と呼ばれ、比較的小さめの会社であることが多いと言えます。

譲渡制限株式の譲渡を希望する株主又は当該株式取得者は、会社に対しその譲渡の承認を求めることができます。

譲渡制限株式の譲渡について、承認するか否かを決定するには、株主総会取締役会設置会社では、取締役会)の決議によらなければなりませんが、定款で別段の定めをすることも可能です。

会社が譲渡を承認しない場合には、その株式について、会社又は指定買取人による買取りを求めることができます。

尚、このように、会社が譲渡を承認しない場合であっても、当事者間では譲渡制限株式の譲渡(売買契約)は有効です。

2⃣法律による譲渡制限

①権利株の譲渡

権利株とは、会社成立前又は新株発行前の株式引受人の地位のことです。

権利株の譲渡は、当事者間では有効ですが、会社には対抗することはできません。

しかし、その趣旨は、株主名簿の作成・変更、株券の発行などの諸事務が滞らないようにする点にあり、会社の事務処理の便宜を図るために制度が存在することから、会社側から任意に譲受人を株主として取り扱うこともできると解されています。

②株券発行の譲渡

株券は、作成し株主に交付して初めて法律上、株券として成立すると解されています。

その為、株券発行会社では、会社成立後又は新株発行後でも、株券発行前における株式の譲渡は、当事者間では有効であるものの、会社との関係では効力が否定されます。

③自己株式の取得制限

株式会社が自社の株式を取得することを、自己株式の取得といいます。

自己株式を取得した場合、実質的に払い戻しとなり資本が空洞化して会社債権者を害する、特定の株主にのみ投下資本回収の機会を与えて株主間の平等を害する、相場操縦やインサイダー取引に悪用されるなどの弊害が生じる恐れがあります。

その為、一定の手続き・方法・財源の規制のもとで認められており、自己株式については、株主総会で議決権を行使することや、剰余金配当を受けることはできません

自己株式の取得が認められる例として、取得請求権付株式を取得する場合、全部取得条項付株式を取得する場合、株主総会の普通決議に基づき申込みのあった各株主との合意により取得する場合などが挙げられます。

取締役会設置会社では、市場取引又は公開買付けの方法で自己株式を取得する場合には、取締役会決議によることができる旨を定款で定めることも可能です。

④子会社による親会社株式取得・保有制限

会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社等のことを、子会社といいます。

子会社は、資本の空洞化を防ぐ為、原則として、親会社である株式会社の株式を取得することはできません。

例外的に、子会社が親会社の株式を取得することができる場合として、合併後消滅する会社から親会社株式を受ける場合等、やむを得ず不可避的に親会社株式を取得するケースが挙げられますが、そのような場合であっても、子会社は、相当の時期にその有する親会社株式を処分する必要があります。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

子会社が親会社株式を取得するには、前述のような制限がありますが、親会社が保有する子会社株式は子会社への支配権を持つために保有するものであり、資産に含まれています。

親会社が、子会社の100%の議決権を保有する場合「完全子会社」となります。

子会社化するメリットとして、リスク分散や経営方針等決定のスピード向上、会社間の利益移動での節税等がありますが、事務作業の負担やランニングコストが増える、親会社は子会社の赤字補填が必要となる場合があるなど、デメリットも存在する為、メリット・デメリットを十分に理解することが重要です。

 

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