自己株式の消却・特別支配株主の株式等売渡請求

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、自己株式の消却と特別支配株主の株式等売渡請求についてご説明いたします。

 

[目次]

 

◆自己株式の消却

◆特別支配株主の株式等売渡請求

◆さいごに

〇自己株式の消却

株式の消却とは、株式会社が自社で取得した株式(自己株式)を絶対的に消滅させることをいいます。

株式の消却は、自己株式についてのみ認められており株主総会取締役会の決議によって再度放出することも可能ですが、消却することで会社の財産・資本金額・発行可能株式総数を変えずに、発行済株式総数を減少・適正化し、株主の利益や株価を高める効果があります。

取締役会設置会社においては、自己株式の消却は、取締役会の決議により、消却する自己株式の数を定めて行いますが、取締役会非設置会社においては、株主総会の決議を要するか、取締役の決定で足りるかについて争いがあります。

 

〇特別支配株主の株式等売渡請求

株式会社の総株主の議決権の10分の9定款でこれを上回る割合を定めることも可能)以上を直接又は間接に保有する株主のことを「特別支配株主」といいます。

特別支配株主は、いつでも他の株主(対象株式会社を除く)に対して、他の株主が保有する株式会社の株式全てを、金銭を対価として、特別支配株主に売り渡すことを請求することが可能です。

また、これと併せて、新株予約権や新株予約権付社債についても売渡請求することが可能であり、これらを特別支配株主の株式等売渡請求といいます。

特別支配株主の株式等売渡請求は、一方的な請求によって強制的に他の株主の株式を、金銭を対価として買い取ることを認める制度です。

これは、少数株主を解消して、会社を100%子会社とする仕組みであり、このような仕組みのことをキャッシュ・アウトと呼びます。

キャッシュ・アウトは、金銭を対価とする合併や株式交換、全部取得条項付種類株式の取得、株式の合併などにより行うこともできますが、これらの方法は、いずれも株主総会の特別決議が必要とされます。

これに対し、特別支配株主の株式等売渡請求は、株主総会の決議を得ることなくキャッシュ・アウトが可能であり、株式を買い取るのが株式会社ではなく、特別支配株主であるのも特徴です。

特別支配株主が株式等売渡請求をするには、対価として交付する金銭の額又はその算定方法や売渡株式を取得する日など、一定の事項を定めて対象会社に通知し、対象会社の承認を得る必要があります。(取締役会設置会社の場合は、当該承認をするには取締役会の決議が必要)

また、対象会社が取得の承認をした後に、特別支配株主が売渡請求を撤回するには、対象会社の承認が必要となります。

対象会社は、取得日の20日前までに、売渡株主等に売渡請求に関する所定の事項の通知をしなければならず、株主の地位を奪うという事柄の重要性に鑑み、公開会社である場合であっても、売渡株主に対する通知は公告をもって代えることはできません。(売渡新株予約者及び登録質権者への通知は公告でも代替可能)

対象株式会社は、事前開示(株式等売渡請求に関する事項を本店に備え置き、売渡株主等の閲覧等請求に供すること)も必要です。

~売渡株主等の保護~

①差止請求権

株式売渡請求が法令に違反した場合、対象会社が売渡株主への通知・事前開示に関する規制に違反した場合、特別支配株主が定めた売渡対価が著しく不当(安い)である場合であって、売渡株主が不利益を受ける恐れがあるときは、売渡株主は、特別支配株主に対し、株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得をやめることを請求することができます。

②売買価格決定の申立て

株式等売渡請求があった場合には、売渡株主等は取得の20日前の日から取得日の前日までの間に裁判所に対し、その有する売渡株式等の売買価格の決定の申立てをすることが可能です。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

特別支配株主は、取得日に売渡株式等の全部の取得をすることとなり、売渡株式等に、譲渡制限が付されている場合には、対象会社は譲渡の承認をしたものとみなされます。

また、対象会社は事後の情報開示も必要とされており、取得後遅滞なく、特別支配株主が売渡株式等の全部を取得した日等、一定の事項につき、事後開示を行うことになります。

尚、株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得の無効は、取得日から6か月以内(非公開会社は1年以内)に訴えをもってのみ主張が可能です。

被告は特別支配株主となりますが、提起が可能なのは取得日に売渡株主(売渡新株予約権者)であった者、取得日に対象会社の取締役・執行役監査役であった者、対象会社のそれらの者若しくは清算人のみに限られておりますので、ご注意ください。

 

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