◆判例◆ 酒類販売の免許制

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、酒類販売業免許拒否処分取消についての裁判例(最判平成4年12月15日)をご紹介いたします。

 

[目次]

 

◆事実の概要

◆判示事項

◆法定要旨

◆さいごに

〇事実の概要

X会社は、Y税務署長に対して、酒税法9条1項に基づき、酒類販売業免許の申請を行なったが、同法10条10号の規定に該当することを理由に拒否処分を受けました。

X会社は、本件申請は同条10号に該当せず、本件処分は違法であるとして、その取り消しを求めて訴えを提起しました。

第1審において本件処分は取り消され、Y税務署長が控訴した第2審においては、本件申請の同条10号該当性に加えて、酒類販売業免許制度を定める同法9条・10条が職業選択の自由を保障する憲法22条1項に違反しているかが問題となりました。

その結果、X会社は、酒類販売店経営の為に必要な資金的要素に相当の欠陥があり、確実な経営が見込めない状態にあったとして同法10号に該当し、更には、酒類販売業の免許制度を定める同法9条・10条も憲法22条1項に違反しないとされ、X会社の請求は棄却、X会社は上告しました。

<酒税法9条1項>

酒類の販売業又は販売の代理業若しくは媒介業(以下「販売業」と総称する。)をしようとする者は、政令で定める手続により、販売場(継続して販売業をする場所をいう。以下同じ。)ごとにその販売場の所在地(販売場を設けない場合には、住所地)の所轄税務署長の免許(以下「販売業免許」という。)を受けなければならない。ただし、酒類製造者がその製造免許を受けた製造場においてする酒類(当該製造場について第七条第一項の規定により製造免許を受けた酒類と同一の品目の酒類及び第四十四条第一項の承認を受けた酒類に限る。)の販売業及び酒場、料理店その他酒類をもっぱら自己の営業場において飲用に供する業については、この限りでない。

<酒税法10条10号>

第七条第一項、第八条又は前条第一項の規定による酒類の製造免許、酒母若しくはもろみの製造免許又は酒類の販売業免許の申請があつた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、税務署長は、酒類の製造免許、酒母若しくはもろみの製造免許又は酒類の販売業免許を与えないことができる。

十 酒類の製造免許又は酒類の販売業免許の申請者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合その他その経営の基礎が薄弱であると認められる場合

<憲法22条1項>

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する

 

〇判示事項

酒税法9条、10条10号と憲法22条1項

 

〇法定要旨

酒税法9条、10条10号は、憲法22条1項に違反しない。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

今回の件では、「租税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという、国の重要な財政収入の確保を目的とした職業の許可制については、立法府の裁量を逸脱し、著しく不合理であることが明白でない限り、憲法22条1項に違反するものではない」として、「経営基盤が薄弱であると認められる場合」という理由による免許の拒否処分ですが、「酒類製造者が酒類販売代金の回収に困難を来すおそれがある典型的な例を規定したもので、この基準は酒類の販売免許制度の立法目的からも合理的なものである」として、酒税法9条、10条10号の規定の規定が、立法府の裁量を逸脱し、著しく不合理であるとはいえず、これらの規定が憲法22条1項に違反するものではなく、経済的自由規制につき合憲と判断され、Xの請求は認められませんでした。

本判決以降も、最高裁は同様の判断を繰り返していることから、判例の考え方は確立していると考えられています。

酒類販売業免許に限らず、許認可申請関係の多くには資産要件が存在します。

許認可の要件の確認をする際には、「どうしてそのような要件を満たす必要があるのか」を考えてみると良いかもしれません。

 

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