◆判例◆ 国籍の取得

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、国籍法違憲判決についての裁判例(最大決平成20年6月4日)をご紹介いたします。

 

[目次]

 

◆事実の概要

◆判示事項

◆法定要旨

◆さいごに

〇事実の概要

法律上の婚姻関係にない日本国民である父とフィリピン国籍の母との間に日本で生まれたXは、平成15年に出生後父から認知されたことを理由に法務大臣に国籍取得届を提出しました。

しかし、国籍法3条1項(改正前)は「父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で20歳未満のもの(日本国民であった者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であった場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であったときは、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。」と規定していた為、Xは国籍取得の要件を備えているとは認められないと通知を受けました。

そこでXは、国籍法3条1項(改正前)が違憲であると主張し、国を相手に日本国籍を有することの確認を求め提訴を行いました。

第1審東京地裁は、国籍法3条1項(改正前)が「準正子」と「父母が内縁関係にある非嫡出子」との間で不合理な差別を生じさせており、憲法14条1項に違反するとしたうえで、同規定の「父母の婚姻」には内縁関係も含む趣旨と解して「嫡出」の文言を無効とし、Xの国籍を認める判断を下しました。

しかし、第2審東京高裁は、たとえ国籍法3条1項(改正前)が憲法14条1項に違反し無効となっても、このことから当然にXが日本国籍を取得することは不可能であり、国籍法3条1項(改正前)の拡張適用は法律に定めのない国籍取得要件を創設するものであって、裁判所による立法作用になるので許されないとして、第1審を取り消し、Xの請求を棄却する判断を下した為、Xはこの判決を不服とし上告しました。

 <憲法14条1項>

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない

 

〇判示事項

①国籍法3条1項が、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子につき、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り日本国籍の取得を認めていることによって国籍の取得に関する区別を生じさせていることと憲法14条1項
②日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子は、日本国籍の取得に関して憲法14条1項に違反する区別を生じさせている、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分(準正要件)を除いた国籍法3条1項所定の国籍取得の要件が満たされるときは、日本国籍を取得するか

 

〇法定要旨

①国籍法3条1項が、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り届出による日本国籍の取得を認めていることによって、認知されたにとどまる子と準正のあった子との間に日本国籍の取得に関する区別を生じさせていることは、遅くとも上告人らが国籍取得届を提出した平成17年当時において、憲法14条1項に違反していたものである。
②日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子は、国籍法3条1項所定の国籍取得の要件のうち、日本国籍の取得に関して憲法14条1項に違反する区別を生じさせている部分、すなわち父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分(準正要件)を除いた要件が満たされるときは、国籍法3条1項に基づいて日本国籍を取得する。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

子と母は、出生時に当然に法律上の親子関係が生じる為、母が日本国籍の場合は当然に日本国籍の取得が可能です。

両親が結婚している場合、父母双方との間に法律上の親子関係が生じますが、結婚していない場合には、胎児認知した場合を除き、出生時の法律上の親子関係は母のみに生じ、この時点で法律上の父は存在しないことなる為、父に認知を求めることが必要となります。

この為、両親が結婚しておらず、母が日本国籍でもない場合には出生後に日本国籍を取得できない為、胎児のうちに日本人の父から認知を受ける「胎児認知」(出生の時点で父が日本人となる為、父母の婚姻を問わず、国籍法2条1項による「子は、次の場合には、日本国民とする。一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。」を満たし日本国籍の取得が可能)もしくは、出生後に日本人の父から認知を受け、かつ父母の婚姻(準正)が必要でした。

現在、国籍法は「準正(父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得)による国籍の取得」から「認知された子(父又は母が認知)の国籍の取得」へ改正されています。

また、本判決には少数意見ではありますが反対意見もあることに注意が必要です。

 

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