◆判例◆ 外国人の出国の自由
札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。
今回は、外国人に対する出国の自由の保障を肯定した裁判例(最大判昭和32年12月25日)をご紹介いたします。
[目次]
◆事実の概要
◆判示事項
◆法定要旨
◆さいごに
〇事実の概要
被告人Yは、出入国管理令所定の手続きである「出国時の旅券への証印」を経ないで国外に出国しようとした為、同管理令の罰則に基づき起訴されました。
Yは①外国人にも出国の自由が保障されており、かつ、②出入国管理令が出国に手続きを要求するのは違憲無効であり、無罪を主張しました。
<出入国管理令25条>
本邦外の地域におもむく意図をもつて出国しようとする外国人(乘員を除き、第二十六條の規定により再入国の許可を受けて出国する外国人含む。)は、その者が出国する出入国港において、入国審査官から旅券に出国の証印を受けなければならない。
2 前項の外国人は、旅券に出国の証印を受けなければ出国してはならない。
<憲法22条2項>
何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
〇判示事項
出入国管理令第25条の合憲性
〇法定要旨
出入国管理令第25条は、憲法第22条第2項に違反しない。
〇さいごに
いかがでしたでしょうか。
判決は、「憲法22条2項でいう外国移住の自由は、その権利の性質上外国人に限って保証しないという理由はない。出入国管理令25条1項は本邦外の地域におもむく意図をもって出国しようとする外国人は、その者が出国する出入国港において、入国審査官から旅券に出国の証印を受けなければならないと定め、同2項において、前項の外国人は旅券に証印を受けなければ出国してはならないと規定しているが、出国それ自体を法律上制限するものではなく、単に出国の手続きに関する措置を定めたものである」と述べ、①外国人に対し出国の自由が保障されることを肯定しつつ、②問題となった出国手続きの規定は出国それ自体を法律上制限するものではないとして合憲とされました。
特殊な例を除き、日本国籍を持たない者は日本国内に入国・滞在するには所定の手続きを経て、在留許可を得ることが必要です。
在留外国人は、在留資格により活動を制限され、日本人と同様の法規制および外国人に限定された刑罰規定や行政法規などの適用を受ける等、在留資格・刑罰放棄・行政法規等の帰省に服することが在留条件となっています。
ただし、在留条件の付加には、憲法上限界があるとされており、例えば、拷問を受けない権利の放棄を在留条件にすることは許されないと言われています。
在留条件として制約してはならない権利は、「外国人の人権・憲法上の権利」と呼ばれ、本判決では、その範囲は権利の性質によって判断されるとし、マクリーン事件判決でも同様の立場がとられ、出国の自由の放棄を在留条件にすることは許されないが、出国手続きの設定は、自由の制約とは言えないとされています。
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