設立関与者の責任

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、会社設立に関する発起人・設立時取締役等に対する責任についてご説明いたします。

 

[目次]

 

◆設立関与者の責任

 ①現物出資等における財産価格填補責任

 ②出資履行の仮装責任

 ③疑似発起人の責任

 ④任務懈怠・第三者に対する損害賠償責任

◆さいごに

〇設立関与者の責任

会社法では、会社の健全な設立を図る為、設立に関して厳重な罰則が定められています。

特に、発起人や設立時取締役等の設立関与者に対しては、以下のような重い民事責任が課されています。

①現物出資等における財産価格填補責任

<第52条>

株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額(定款の変更があった場合にあっては、変更後の価額)に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、発起人(第二十八条第一号の財産を給付した者又は同条第二号の財産の譲渡人を除く。第二号において同じ。)及び設立時取締役は、現物出資財産等について同項の義務を負わない。

一 第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項について第三十三条第二項の検査役の調査を経た場合

二 当該発起人又は設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合

3 第一項に規定する場合には、第三十三条第十項第三号に規定する証明をした者(以下この項において「証明者」という。)は、第一項の義務を負う者と連帯して、同項の不足額を支払う義務を負う。ただし、当該証明者が当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。

 

引受人間の公平を確保する為、現物出資又は財産引受の対象となった財産の価格について、定款に記載された価格に著しく不足する場合は、現物出資者・財産引受けの譲渡人はもちろん、それ以外の発起人及び設立時取締役も原則として、株式会社に対し連帯して不足額を支払わなければなりません。

ただし、会社の実質的所有者である総株主の同意がある場合には、この財産価格填補責任を免れることが可能です。

尚、募集設立の場合、設立時募集株式引受人には自衛能力がなく、保護の必要性が高いことから、発起人及び設立時取締役がその職務を行うにつき注意を怠らなかったことを証明した場合も、財産価格填補責任を逃れることはできませんのでご注意ください。

 

②出資履行の仮装責任

<第52条の2>

発起人は、次の各号に掲げる場合には、株式会社に対し、当該各号に定める行為をする義務を負う。

一 第三十四条第一項の規定による払込みを仮装した場合 払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払

二 第三十四条第一項の規定による給付を仮装した場合 給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部の給付(株式会社が当該給付に代えて当該財産の価額に相当する金銭の支払を請求した場合にあっては、当該金銭の全額の支払)

2 前項各号に掲げる場合には、発起人がその出資の履行を仮装することに関与した発起人又は設立時取締役として法務省令で定める者は、株式会社に対し、当該各号に規定する支払をする義務を負う。ただし、その者(当該出資の履行を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。

3 発起人が第一項各号に規定する支払をする義務を負う場合において、前項に規定する者が同項の義務を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

4 発起人は、第一項各号に掲げる場合には、当該各号に定める支払若しくは給付又は第二項の規定による支払がされた後でなければ、出資の履行を仮装した設立時発行株式について、設立時株主(第六十五条第一項に規定する設立時株主をいう。次項において同じ。)及び株主の権利を行使することができない。

5 前項の設立時発行株式又はその株主となる権利を譲り受けた者は、当該設立時発行株式についての設立時株主及び株主の権利を行使することができる。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。

 

出資の履行を仮装した発起人、設立時募集株式の引受人は、払込期日や払込期間が徒過したかどうかにかかわらず、株式会社に対し、仮装した払込金額全額の支払いをする義務を負います。

これは、現物出資の場合であっても変わりませんが、これらの履行義務は、総株主の同意があれば免除することが可能です。

仮装の出資の履行に関与した発起人・設立時取締役等は会社に対し、同様の義務を負いますが、当該払込みを仮装したものを除きその職務を行うことについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、その義務を免れることができます

 

③疑似発起人の責任

発起人とは、会社の設立の企画者として、定款に署名又は記名押印した者のことです。

しかし、株式募集に関する広告その他文書等に賛助者として自己の氏名を掲げること等を承諾した者(疑似発起人)は、発起人として定款に署名等をしていなく、実際には発起人ではない場合でも、発起人らしい外観を持つことから、その外観を信頼した者を保護する為、発起人と同様の責任を負うことになります

 

④任務懈怠・第三者に対する損害賠償責任

<第53条>

発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

2 発起人、設立時取締役又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う

 

発起人・設立時取締役・設立時監査役は、株式会社の設立に際し、任務を怠り、これにより株式会社に損害を与えたときは、損害を賠償する責任を負い、また、職務を行うにつき、悪意又は重大な過失があり、これにより第三者に損害を与えたときは、第三者に対しても損害賠償責任を負います。

これらの任務懈怠責任第三者に対する損害賠償責任は、損害賠償責任を負うものが複数いる場合、それらの者の連帯責任となります。

尚、任務懈怠責任については、総株主の同意がある場合免除が可能ですが、第三者に対する損害賠償責任については、免除されることはありません

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

上記でご説明した設立関与者の責任は、総株主の同意等により免れることができるものもあります。

しかし、募集設立時の財産価格填補責任や第三者に対する損害賠償責任など、免れることができない責任もありますので、混同しないようにご注意ください。

 

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