単元株制度・利益供与の禁止

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、単元株制度と利益供与の禁止についてご説明いたします。

 

[目次]

 

◆単元株制度

◆利益供与の禁止

◆さいごに

〇単元株制度

株式会社は、発行する株式について、一定数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会おいて1個の議決権を行使することができる1単元の株式とする旨を定款で定めることができ、これを「単元株制度」といいます。

単元株制度は、一定数の株式をもたない株主には議決権を与えないとすることにより、議決権行使に伴う株主管理のコスト(株主総会招集通知の発送費用等)を削減することが可能です。

単元株式数について、定款で定めている場合には、株主は株主総会において、その有する1単元の株式につき1個の議決権を有することになります。

ただし、この場合でも、株式会社が所有する自己株式については、議決権を有することにはなりませんのでご注意ください。

また、単元未満株式を有する株主のことを「単元未満株主」と呼び、単元未満株主が有する株式については議決権を行使することができません

その為、単元未満株主は、議決権を前提とした株主提案権などの権利も有しておりません。

会社法では、単元未満株式についての権利の制限等を以下のように定めており、第2項各号に列挙された権利を除き、単元未満株主の議決権以外の権利についても行使することができない旨を定めることが可能です。

<第189条>

単元株式数に満たない数の株式(以下「単元未満株式」という。)を有する株主(以下「単元未満株主」という。)は、その有する単元未満株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使することができない。

2 株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について次に掲げる権利以外の権利の全部又は一部を行使することができない旨を定款で定めることができる。

一 第百七十一条第一項第一号に規定する取得対価の交付を受ける権利

二 株式会社による取得条項付株式の取得と引換えに金銭等の交付を受ける権利

三 第百八十五条に規定する株式無償割当てを受ける権利

四 第百九十二条第一項の規定により単元未満株式を買い取ることを請求する権利

五 残余財産の分配を受ける権利

六 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める権利

3 株券発行会社は、単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる。

 

単元未満株主には、株式会社に対する単元未満株式の買取請求権及び売渡請求権があります。

①買取請求権

単元未満株主の投下資本回収の機会を確保する為、単元未満株主は、株式会社に対して、単元未満株式の買取りを請求することができます。

この場合、定款の定めは不要とされています。

②売渡請求権

単元未満株主へ議決権行使の機会を得る為、単元未満株主は、株式会社に対して、単元未満株主が有する単元未満株式の数と併せて単元株式となる株式を売り渡すことを請求することができます。

この場合、定款での定めが必要となります。

単元未満株式売渡請求を受けた株式会社は、その請求を受けたときに会社が単元未満株式の数に相当する数の株式を有しない場合を除き、自己株式を当該単元未満株主に売り渡さなければなりません。

単元株制度の採用や単元株式数の増加は、株主にとって議決権を行使しにくくなる恐れがあり、重要な不利益をもたらすことから、原則として、株主総会の特別決議が必要となります。

また、1単元の株式数は1000株及び発行済株式総数の200分の1にあたる数を超えてはいけません

種類株式発行会社においては、単元株式数は、株式の種類ごとに定める必要があります。

尚、単元株制度を採用している会社が制度を廃止又は単元株式数を減少させる場合には、取締役の決定(取締役会設置会社では、取締役会の決議)によって、定款を変更して行うことが可能です。

 

〇利益供与の禁止

会社は、誰に対しても株主の権利に関し、会社又はその子会社の計算(資金を拠出すること)で、財産上の利益を供与することが禁止されています。

これにより、企業経営の健全性の確保・会社財産の浪費を防止し、総会屋(複数の会社の株を少しずつ持ち、それぞれの株主総会に出席し、金品を得る目的で会社や経営者を誹謗したり総会の議事を妨害したりする者)対策にも繋がります。

“株主の権利の行使に関し”とは、議決権、訴訟提起権、株主名簿等の閲覧請求権、その他何らかの株主権の行使又は不行使と関連付けることを指します。

この規定に違反し、財産上の利益供与を受けた者は、それを会社又はその子会社へ返還しなければならず、利益供与に関与した取締役等は、その供与した利益の額について、会社に対し連帯して支払いをする義務を負います。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

“利益供与に関与した取締役等”とは、利益の供与に関する職務を行った取締役や、利益の供与が取締役会の決議に基づいて行われたときに決議に賛成した取締役等のことを指すといわれています。

判例では「会社から見て好ましくないと判断される株主が議決権等の株主の権利を行使することを回避する目的で、当該株主から株式を譲り受けるための対価を何人かに供与する行為は、商法(平成12年法律第90号による改正前のもの)294条ノ2第1項にいう「株主ノ権利ノ行使ニ関シ」利益を供与する行為に当たる。(最判平成18年4月10日)」とされていますので、ご注意ください。

 

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