募集株式の発行等について①

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、募集株式の発行等についてご説明いたします。

 

[目次]

 

◆募集株式の発行等とは

◆募集株式の発行等の手続き

◆さいごに

〇募集株式の発行等とは

募集株式の発行等とは、「株式引受人を募集することにより新たに株式を発行すること(新株発行)」及び「自己株式を処分すること(自己株式の処分)」をいいます。

新株発行と自己株式の処分は、株式引受人を募集し、引受人から金銭等の払込みを受けて、その者が株式を取得するという点で共通しています。

その為、会社法は、両者を一体化して規定しています。

株式は、株式会社の社員たる地位であり、新たに株式を発行することにより社員が増え、株式の対価が会社に入ることから会社資産も増加します。

つまり、新株発行又は自己株式の処分を行うことで、会社は人的にも物的にも拡大することになります。

このように、新株発行と自己株式の処分は同様の経済的効果を会社にもたらしますが、新株発行の場合、払込金が全て資本金又は資本準備金となり、会社の分配可能額は増加しません。

一方、自己株式の処分の場合、払込金の分の分配可能額が増加するという違いがあります。

株式会社は、事業拡大や損失補償の為に資金が必要となった際、それまでの利益の蓄え(内部留保)だけで足りない場合、社外から資金を調達する必要があります。

株式会社の資金調達の主な方法として、募集株式の発行等の他に、金融機関からの借り入れや社債の発行が挙げられます。

しかし、これらは返済義務がある“負債”でもあり、返済ができなかった場合には会社の倒産に繋がる恐れもあります。

募集株式の発行等によることが可能な場合は、株主となる者から出資を受けることができ、返済義務のない“自己資本”を増やすことができ、財務上のリスクを避けつつ資金調達が可能というメリットがあります。

 

〇募集株式の発行等の手続き

募集株式の発行等の手続きは、株主割当て(既存の株主に対し、その有する株式数に応じて、株式の割当てを受ける権利を与えること)であるかどうか、公開会社であるかどうか、によって異なります。

新たな株式の発行は、既存の株主にとって、自己の持ち株比率が下がったり、発行価格によって全体の株価が変動するなど、不利益を伴うものです。

その為、既存株主保護の為の規制が必要となりますが、株主割り当てによる場合は、株主に新株を引き受けるだけの十分な資力がある限り、前述の既存株主の不利益は生じず、公開会社である場合、持ち株比率の低下に対し無関心な株主も多く、発行価格さえ適正であれば問題ないと考える場合など、それぞれの事情によって保護の程度も範囲も異なります。

<募集事項の決定機関>

1⃣株主割当て

①公開会社

募集事項の決定は、取締役会の決議によります。

公開会社が募集株式の割当て等を行い、支配株主が異動する場合(募集株式の発行等により新たに過半数の議決権を有する株主が現れる場合)には、事前の通知・告知等を行い、総株主の議決権の10分の1以上の議決権を有する株主が異議を述べたときは、株主総会の普通決議を要します。

②非公開会社

募集事項の決定は、原則として株主総会の特別決議が必要となりますが、取締役の決定(取締役会設置会社では、取締役会の決議)による旨の定款の定めがある場合には、その定めに従うことになります。

2⃣株主割当て以外

①公開会社

募集事項の決定は、原則として取締役会の決議によります。

ただし、募集株式の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額(安い)である場合は、募集事項の決定は株主総会の特別決議によらなければなりません。

②非公開会社

募集事項の決定は、株主総会の特別決議が必要となります。

ただし、株主総会の特別決議により、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社においては取締役会)に委任することも可能です。

取締役・取締役会に募集事項の決定の委任をする場合には、株主総会の普通決議により、「募集株式数の上限」及び「払込金額の下限」を定めることが必要であり、委任決議は、払込期日又は払込期間の末日が当該決議の日から1年以内の日である募集についてのみその効力を有することになります。

<申込み・割当て・引受け>

会社は、募集株式の申込みをしようとする者に対して募集事項等を通知し、申込みをする者は一定事項を記載した書面(電磁的方法も可能)を会社に交付して申込みを行います。

会社はこれに対し割当てをし、申込人は割当てを受けた株式について株式引受人となります。

株主割り当ての場合、引受けの申込期日までに申込みをしない株主は、募集株式の割当てを受ける権利を当然に失うことになりますので、ご注意ください。

<出資の履行・募集株式の発行等の効力発生>

募集株式の引受人は、払込期日又は払込期間内に払込金額の全額の払込を行い、現物出資者は現物出資財産全部の給付が必要です。

払込期日又は払込期間内に払込み又は給付があった募集株式については、払込期日を定めた場合には払込期日に、払込期間を定めた場合にはその出資の履行があった日に募集株式発行の効力が生じ、株式引受人は株主となります。

払込期日又は払込期間内に出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより募集株式の株主となる権利を当然失うこととなりますので、ご注意ください。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

現物出資の場合、設立段階における現物出資は発起人に限られていたのに対し、設立後における募集株式の発行ではその資格に制限はありません。

設立時と同様に裁判所が選任した検査役が調査するのが原則となりますが、当該現物出資財産の価額が500万円を超えない場合など、一定の場合には検査役の調査は不要となります。(会社法207条9項各号)

また、募集株式発行等の履行が仮装された場合には、株式の引受人は支払・給付の義務を負い、仮装に関与した取締役等も連帯債務を負担することになりますので、ご注意ください。

 

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