事業譲渡②

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回も引き続き、事業の譲渡についてご説明をいたします。

 

[目次]

 

◆事業譲渡の手続き

◆事業譲渡後における諸規則

◆さいごに

〇事業譲渡の手続き

株式会社が事業譲渡等を行うには、その行為が効力を生ずる日までに、原則として、株主総会の特別決議による承認が必要です。

その為、株主総会の決議を欠いた場合は、その譲渡は無効であり、また何人との関係においても無効です。

また、譲渡の無効は譲渡会社だけでなく、相手方である譲受け会社から主張することも可能です。

ただし、判例では「譲渡会社の株主総会の特別決議を経ていないことにより無効である場合であつても、譲渡会社が営業譲渡契約に基づく債務をすべて履行済みであり、譲受人も営業譲渡契約が有効であることを前提に譲渡会社に対し自己の債務を承認して譲受代金の一部を履行し、譲り受けた製品、原材料等を販売又は消費し、しかも、譲受人は契約後約二〇年を経て初めて右の無効の主張をするに至つたもので、その間譲渡会社の株主や債権者等が営業譲渡契約の効力の有無を問題にしたことがなかつたなど判示の事情があるときは、譲受人が営業譲渡契約の無効を主張することは、信義則に反し、許されない。(昭判昭和61年9月11日)」とされていることから、譲渡後、長期間を経過して初めて当事者無効を主張することは信義則(相互に相手方の信頼を裏切らないよう、誠意を持って行動すべきであるという法原則)に反する為、認められていません。

株主総会の特別決議による承認が不要となる場合としては、略式の事業譲渡等や簡易の事業譲受けが該当します。

その為、事業譲渡等の相手方が特別支配会社である場合、支配されている会社においては株主総会の決議は不要となります。

特別支配会社とは、ある株式会社の総株主の議決権の10分の9(これを上回る割合を株式会社の定款で定めた場合は、その割合)以上を、他の会社及び当該他の会社が発行済株式の全部を有する株式会社、その他これに準ずるものとして法務省令で定める法人が有している場合における当該他の会社のことをいいます。

このような場合には、株主総会を開催しても結果に差異がなく、コストの削減・迅速な手続きの促進を図る為に不要とされています。

また、他の会社の事業の全部の譲受けをする場合において、当該他の会社の事業の全部の対価として交付する財産の帳簿価額の合計が、当該株式会社の純資産額として法務省令で定める方法により算出される額の5分の1を超えないときは、簡易の事業譲受けとされ、譲受会社の株主の利益に与える影響が少ないと考えられていることから株主総会の決議が不要となりますが、反対する株主の数が一定数に達すると、株主総会の決議を省略した手続きは認められず、特別決議を要することになる点に注意が必要です。

尚、事業譲渡等は株主の重大な利害に関わる為、反対株主には原則として、株式買取請求権が認められます。

 

〇事業譲渡後における諸規則

譲渡会社は、当事者の別段の意思表示がない限り、競業避止義務により、同一市町村の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から20年間は、同一の事業は行うことができません。

また、譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合、その譲受会社も原則として、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負うことになります。

<第22条>

事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。

2 前項の規定は、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社及び譲渡会社から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。

3 譲受会社が第一項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、事業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。

4 第一項に規定する場合において、譲渡会社の事業によって生じた債権について、譲受会社にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。

 

尚、譲受会社が譲渡会社の商号を引き続き使用しない場合においても、譲渡会社の事業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡会社の債権者は、その譲受会社に対して弁済の請求をすることができます。

その場合、譲渡会社の責任は、譲受会社が債務を引き受ける旨の広告があった日後2年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅することになります。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

株式買取請求権は、少数株主に対しては与えられていますが、特別支配会社に対しては、株式を買い取る合理性がないことから与えられておりません。

その為、特別支配会社は通知の対象株主にもならない点にご注意ください。

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