◆判例◆ 女性の再婚禁止期間の合憲性

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、女性の再婚禁止期間の合憲性についての裁判例(最大決平成27年12月16日)をご紹介いたします。

 

[目次]

 

◆事実の概要

◆判示事項

◆法定要旨

◆さいごに

〇事実の概要

Xは、平成20年に前夫と離婚をし、同年10月に後夫と再婚をしたが、同再婚は、女性について6か月の再婚禁止期限を定める民法733条1項の規定があるために、望んだ時期から遅れて成立したものでした。

Xは、これにより精神的損害等を被ったとして、本件規定が両性の平等を定める憲法14条1項および24条2項に違反すると主張し、本件規定を改廃しない立法不作為の違法を理由に、国に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求を行いました。

第1審は、本件規定を改正しないことが、「国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」にあたるといえないとして請求を棄却し、原審は、6か月の再婚禁止期間が直ちに過剰な制約であるとはいえないとして、控訴を棄却したことにより、Xが上告しました。

<民法733条1項>

女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。

<憲法14条1項>

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない

<憲法24条2項>

配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

<国家賠償法1条1項>

国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

 

〇判示事項

➀民法733条1項の規定のうち100日の再婚禁止期間を設ける部分と憲法14条1項、24条2項
②民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分と憲法14条1項、24条2項
③立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける場合
④国会が民法733条1項の規定を改廃する立法措置をとらなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとされた事例

 

〇法定要旨

➀民法733条1項の規定のうち100日の再婚禁止期間を設ける部分は、憲法14条1項、24条2項に違反しない。
②民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は、平成20年当時において、憲法14条1項、24条2項に違反するに至っていた。
③法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などにおいては、国会議員の立法過程における行動が個々の国民に対して負う職務上の法的義務に違反したものとして、例外的に、その立法不作為は、国家賠償法1条1項の規定の適用上違法の評価を受けることがある。
④平成20年当時において国会が民法733条1項の規定を改廃する立法措置をとらなかったことは、(1)同項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分が合理性を欠くに至ったのが昭和22年民法改正後の医療や科学技術の発達及び社会状況の変化等によるものであり、(2)平成7年には国会が同条を改廃しなかったことにつき直ちにその立法不作為が違法となる例外的な場合に当たると解する余地のないことは明らかであるとの最高裁判所第三小法廷の判断が示され、(3)その後も上記部分について違憲の問題が生ずるとの司法判断がされてこなかったなど判示の事情の下では、上記部分が違憲であることが国会にとって明白であったということは困難であり、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

明治時代から続いていた女性の再婚禁止期間は、平成28年に6か月から100日に短縮されました。

この期間は「待婚期間」とも呼ばれ、離婚後すぐに女性が再婚し出産した場合、子供の父親が前夫か現夫かという争いを避ける為、女性に限って規定されていました。

民法上、「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」「婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」とされており、離婚後すぐに再婚することで推定期間が100日間重なってしまう為とされていましたが、嫡出推定制度についてご説明した通り、民法改正により、同制度が令和6年4月1日から施行されるのに伴い、同時に女性の再婚禁止期間の規定が完全に廃止されることになります。

 

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