特別受益の具体的取扱い①

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、特別受益の具体的取扱いについて、いくつかご説明いたします。

 

[目次]

 

◆特別受益の具体的取扱い

 ①代襲相続

 ②相続分の譲渡

 ③相続人の家族への贈与

 ④贈与後の婚姻・養子縁組

 ⑤婚姻時に受けた贈与

◆さいごに

〇特別受益の具体的取扱い

①代襲相続

代襲相続とは、被相続人の法定相続人(子や兄弟姉妹など)が被相続人よりも前に死亡していた場合、また相続欠格や相続廃除に該当する場合、その法定相続人の子が代わりに被相続人の遺産を相続する制度です。

代襲される相続人のことを“被代襲者”、代襲する子のことを“代襲相続人”といいます。

代襲相続人は、被代襲者が被相続人からの特別受益を受けていた場合および代襲相続の原因が生じたに自らが受けた特別受益について、被相続人からの特別受益であると認められます

その為、代襲相続の原因が生じるに代襲相続人が被相続人から受けていた贈与については特別受益に該当しません

②相続分の譲渡

法定相続人は、有償・無償を問わず、自己の相続分を他人に譲り渡すことができます。

他人に相続分を譲渡することで、譲渡した法定相続人は相続権を失うことになり、遺産分割協議への参加などもできなくなりますが、相続放棄とは異なり譲渡する相手を選べる為、自分以外に遺産を相続させたい人(配偶者や孫など)がいる場合、有償で相続分を譲渡することで遺産分割を待たずに早期に現金化が可能、などというメリットもあります。

相続分の譲渡人が被相続人から特別受益を受けていた場合、譲受人は特別受益額が控除された具体的相続分を引き継ぐことになります。

③相続人の家族への贈与

通常、被相続人の子は法定相続人となりますが、その法定相続人である子の家族(配偶者や子)は法定相続人とはなりません。

その為、その家族が被相続人から生前贈与等を受けていた場合、金銭の贈与をはじめ、居住用不動産の贈与をされ、その居住用不動産が相続人の居住用として利用されていた場合も原則として特別受益には該当しません

しかし、実質的に相続人への贈与と評価できる場合には、例外的に特別受益として認められることもあります。

④贈与後の婚姻・養子縁組

被相続人から生前贈与を受けた当時は相続人に該当しなかった場合も、贈与を受けた後に婚姻や養子縁組により相続人の地位を得た場合、相続開始時には相続人となる為、その地位を得た前後を問わず被相続人から受けた贈与は特別受益として扱われることになります。

例えば、被相続人との交際中にマンションを譲り受けた場合、そのままの関係で相続が開始された場合には特別受益には該当しませんが、贈与後、婚姻や養子縁組関係を結び相続が開始した場合などには特別受益に該当することになります。

⑤婚姻時に受けた贈与

<第903条> 

共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

民法では上記の通り、特別受益について定められていることから、婚姻時に受けた贈与は全て特別受益に該当すると思われるかもしれません。

しかし、特別受益に該当するのは、被相続人が多額の持参金や支度金を出した場合であるとされており、それらが少額である場合、披露宴や挙式の費用を出してもらった場合には特別受益として認められることはないと言われています。

昨今では婚姻の在り方も変化しており、結納や持参金については「なし」とする場合も多く、実際には婚姻時の贈与において特別受益に該当するケースは少ないと思われます。

⑥お小遣い・生活費

複数の相続人がいた場合、一部の相続人のみが被相続人から生活費の援助やお小遣いを多くもらっていた場合に特別受益に該当すると主張される場合があります。

しかし、通常の扶養の範囲内であると認められる生活費の援助を受けていた場合、短期間で消費される程度のお小遣いをもらっていたに過ぎない場合は、原則として特別受益には該当となりません

特別受益を主張する当事者から見ると、被相続人から特別扱いを受けており特別受益に該当しないのは不公平であると考えるかもしれませんが、これらは生計の資本としての贈与とは言えません。

ただし、長期間である場合や他回数にわたる場合で、通常の扶養の範囲内とは言えない贈与、生計の資本としての贈与と評価できる場合には、特別受益と認められることもあります。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

「特別受益」は必ずしも主張できるとは限りません。

個々のケースで判断することも多い為、特別受益の主張をする場合は事前にしっかりと確認した上でトラブルの無いように対応していきましょう。

 

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