特別受益の具体的取扱い②

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

前回に引き続き、特別受益の具体的取扱いについて代表的なものをいくつかご説明いたします。

 

[目次]

 

◆特別受益の具体的取扱い

 ①貸付金

 ②債務の肩代わり

 ③新築祝い、入学祝い

 ④大学等の学費

 ⑤死亡保険金

◆さいごに

〇特別受益の具体的取扱い

①貸付金

被相続人が金銭を貸し付けていた場合に、特別受益に当たると主張されることがあります。

しかし、貸付金は贈与ではない為、特別受益として認められることはありません

ただし、貸付債権は相続人全員の同意により、分割対象となる遺産として扱うことが可能です。

②借金の返済

被相続人に借金の返済をしてもらっていた場合、贈与ではなく、債務の肩代わりということになります。この場合、被相続人は相続人に対し求償権をもっている為、原則として特別受益には該当しませんが、債権として相続人全員の同意により、分割対象の遺産として扱うことが可能です。

ただし、被相続人が求償権を放棄していた場合には、遺産の前渡しといえるほど肩代わりをした債務が高額であるとき、特別受益と認められることがあります。

尚、求償権の放棄や免除をしていた場合、相続開始時にはその債権は存在しないことになる為、分割対象となる遺産として扱うことはできなくなります。

③新築祝い、入学祝い

複数の相続人がいる場合、自宅の新築の有無、子供の有無などにより、一部の相続人が被相続人からお祝い金をもらっていることが不公平であるとし、特別受益が主張されることがあります。

しかし、そのほとんどが被相続人が親として通常の範囲内で行った援助であり、特に入学祝い等については相続人ではなく、相続人の子(被相続人の孫)にあてたものである場合が多く、そもそも相続人以外への贈与である為、原則として特別受益に該当しないことになります。

④大学等の学費

大学や専門学校への進学による、被相続人である親からの金銭援助について、通常は扶養の範囲内の贈与と考えられており、原則として特別受益は認められません

一部の相続人が高等学校等を卒業後すぐに就職し、自立した生活を送っていた場合、他の相続人が進学による学費、ひとり暮らしの家賃や仕送りを含む生活費の援助を受けていたことを考えると特別受益に該当しないのは不公平に感じるかと思います。

また、国公立と私立、学部の違いによる学費の差などからも不平不満を持つことがあるでしょう。

しかし、大学等の学費については生活の資本としての贈与とは評価されず、これは留学費用等についても同様といわれています。

ただし、例外として将来の職業・生計に直結する大学の学費は特別受益として認められる場合があります。

例えば医学部歯学部薬学部の特に私立大学の学費が該当します。

これらは大学卒業後の職業に直結する高額な費用の贈与となりますので、生計の資本としての贈与と評価されやすいといえます。

⑤死亡保険金

死亡保険金は、被相続人が保険料を支払っていること、死亡保険金額が高額になることが多いことなどから、受取人となった相続人以外から特別受益を主張されることがあります。

しかし、「被相続人を保険契約者及び被保険者とし、共同相続人の1人又は一部の者を保険金受取人とする養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないが、保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率、保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、特別受益に準じて持戻しの対象となる。(最二小決平成16年10月29日)」とされています。

つまり、死亡保険金は特別受益に該当しないものの、特段の事情がある場合は特別受益に準じた持ち戻しの対象になるということです。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

「特別受益」が認められるためには、①贈与の事実があったこと、②その贈与が“婚姻・養子縁組”の為や生計の資本としてされたものである必要があります。

一見、特別受益に該当しそうなケースも実は該当しない、というケースが少なくありませんのでご注意ください。

 

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