寄与分の要件

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、寄与分の要件についてご説明いたします。

 

[目次]

 

◆寄与分の要件

◆遺言・遺留分との関係

◆さいごに

〇寄与分の要件

寄与分を主張するためには、以下の要件を満たすことが必要となります。

①特別の寄与があること(特別性)

特別の寄与”とは、被相続人と相続人の身分関係や親族関係に基づいて、「通常期待される程度を超える貢献」である必要があります。

その為、例えば妻が被相続人である夫のために行った家事労働などは夫婦間の協力義務(民法第752条)、子が高齢の親の生活・家事の援助などについては、親族間の扶養義務(民法第877条)、その他民法第730条の直系血族及び同居親族の扶け合いに該当する行為については「通常期待される程度の貢献」であり、法定相続分で評価されていると考えられている為、特別の寄与は認められていません。

つまり、配偶者や子など、他の相続人よりも法定相続分が多い当事者は「通常期待される程度」も高いと言えることから、“特別の寄与”と認められるハードルもより高くなります。

単に「一生懸命世話をした」という主張だけでは寄与分は認めらることはなく、被相続人の介護してくれる人を雇わなければならない状態のところ、相続人の療養看護のおかげで費用の支出を免れたというような事情が必要となります。

また、“事業に関する財産上の給付”については、単に被相続人に事業資金を貸し付けているに過ぎない場合には、相続人に対しても返済の請求は可能であり、「通常期待される程度の貢献」とは認められません。

該当例とはしては、経営難で危機に陥っていた中、その事業資金の貸し付けのおかげで倒産を免れ、その後売り上げが向上し事業が発展したようなケースなどが挙げられるでしょう。

②対価を受けていないこと(無償性)

特別の寄与と認められるためには、無償またはそれに近い状態(対価としては不十分な報酬)で寄与がなされていることが必要です。

その為、被相続人の事業に関する労務の提供や、被相続人の療養看護をおこなっていた場合も対価として相当の報酬を得ている場合は、この要件を満たさず特別の寄与は認められないことになりますのでご注意ください。

③特別の寄与によって、被相続人の財産が維持または増加したこと(因果関係)

特別の寄与と被相続人の財産の減少の阻止、財産の増加の間に因果関係が認められることも必要となります

例えば、頻繁に被相続人の話し相手になっていたような場合、精神的な援助とはなり得ますが、財産上には効果が無く、経済的な観点からの維持・増加が必要である為、寄与としては考慮されないことになります。

その他、相続人が所有する建物に被相続人と同居していた場合に、被相続人が生活しやすいようにリフォーム等を行った場合であっても、その行為自体が被相続人の財産の維持・増加には直接的に結びつくことにはならず、例え多額の費用を支出していた場合でも寄与分が認められることにはなりません。

 

〇遺言・遺留分との関係

【遺言】

寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。(民法第904条の2第3項)」と定められています。

寄与分よりも遺贈の方が優先すると考えられている為、遺言により被相続人の相続財産の全てについて分割方法が定められている場合、寄与分の主張は認められないことになります。

【遺留分】

<第1042条> 

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第1項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。

一 直系尊属のみが相続人である場合 3分の1

二 前号に掲げる場合以外の場合 2分の1

2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第900条及び第901条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

 

被相続人の相続人に最低限保証される遺産取得分のことを“遺留分”といいます。

例えば被相続人が遺言に、特定の者にのみ遺産を相続させるような内容を記載していたとしても、法定相続人のうち配偶者、直系卑属(子、孫等)、直系尊属(親、祖父母等)は、一定の遺留分が保証されています。(兄弟姉妹は除く

この遺留分と寄与分の関係では遺留分よりも寄与分の方が優先するとされている為、抵触する内容であっても寄与分の主張が認められることになります。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

上記の要件の他、寄与分が認められるためには労務の提供等が“一定期間に及んでいる必要がある”とされており、一時的な場合は寄与分が認められない傾向にあるようです。

具体的に必要な期間については定められておらず、案件ごとに異なる為一概には言えませんが、1~2ヶ月といった短期間ではなく、数年程度の期間が必要となると考えるべきでしょう。

 

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