寄与分の類型②

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、寄与分の類型のうち、「金銭等の出資型」についてご説明いたします。

 

[目次]

 

◆寄与分の類型

【金銭等の出資型】

◆さいごに

〇寄与分の類型

寄与分が考慮される内容は、民法で「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法(第904条の2)」と定められています。

<寄与分の一般要件>

・特別の寄与があること(特別性)

・対価を受けていないこと(無償性)

・特別の寄与によって、被相続人の財産が維持または増加したこと(因果関係)

 

寄与分の類型のうち、前回ご説明した「家業従事型」は上記の一般要件の他、“継続性”および“専従性”の要件も必要でしたが、今回ご説明する「金銭等の出資型」上記の一般要件を満たすことで寄与分の主張が可能です。

 【金銭等の出資型】

被相続人の事業に関する財産上の給付”または“被相続人に対して財産上の利益を給付”した場合に該当します。

寄与分が主張される具体例としては、以下のようなケースで相続人が金銭等の支出を行った場合が挙げられます。

・被相続人の借金の返済

・被相続人の病院での治療費や入院費用

・被相続人の介護施設への入居費用

・被相続人所有の建物の改修費用

上記の具体例の通り、金銭等の出資に対する寄与分が主張される場合、“被相続人の事業に関する財産上の給付”に比べ“被相続人に対して財産上の利益を給付”した場合であることが多いです。

しかし、寄与分の一般要件である「特別性」を満たすためには被相続人と相続人の身分関係や親族関係に基づいて、「通常期待される程度を超える貢献」である必要があります。

その為、出資した金銭等の額が親族間の扶養義務(民法第877条)の範囲内であると評価されるような場合には、通常期待される程度を超える貢献とは言えない為、寄与分は認められません。

金額に対する明確な基準は設けられていませんが、当事者である相続人が被相続人が居住する為の不動産の購入を行った場合や相続人所有の不動産を贈与したような場合には、特別性に関する要件の他“被相続人の財産の維持または増加”という因果関係についても要件を満たすことになるでしょう。

ただし、寄与分を主張する相続人が被相続人所有の建物に同居していた場合、「無償性」の要件に影響する場合があります。

当事者である相続人が被相続人所有の不動産の住宅ローンを支払っていた場合、原則として「金銭等の出資型」として寄与分が認められることになりますが同居している場合には、住宅ローンの支払いは家賃相当額の支出を免れたことにもなり、裁量割合として考慮され、自宅の改修費用についても、被相続人に対してのみではなく相続人本人やその家族の生活の質の向上にも繋がると考えられる為、「無償性」の要件を満たすのは難しいケースがあります。

もっとも、被相続人の身体がバリアフリーを要するような状態で住宅改修を行ったような場合には、通常期待される程度を超える貢献として認められるような金銭等の支出が伴っている場合、寄与分が認められることもあります。

~寄与分の算定方法~

金銭等の出資型の場合、裁量割合を考慮することもありますが、出資額がそのまま寄与分の額となったり、不動産の場合も相続開始時の不動産価格がそのまま寄与分の額となることが多いようです。

また、寄与分の主張を裏付けとなる証拠資料として、支出等の年月日や金額がわかる領収書や通帳の写し、売買契約書等が必要となりますが、特に領収書については宛名が名字だけであることも多く、被相続人と寄与分を主張する相続人の名字が同じである場合、どちらが支払ったのか判別が難しい場合があります。

その為、領収書だけではなく出入金履歴のわかるものが必要となる場合もあります。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

「金銭等の出資型」の場合は、一般要件を満たすことで主張が可能ですが、特に当事者が被相続人と同居していた場合の「無償性」の要件への影響ついては、十分注意しましょう。

 

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