遺言書の無効について

      

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、遺言書の無効についてお話しいたします。

 

[目次]

 

◆遺言書の無効について

◆無効となった判例

◆さいごに

〇遺言書の無効について

遺言の種類として、主に普通方式遺言と呼ばれる「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類が挙げられます。(それぞれのメリット・デメリットについてはこちらの記事をご確認ください。)

自筆証書遺言については、簡単に作成が可能なことから最も身近な遺言である一方、紛失・偽造等の他、法的形式を満たさないことによって遺言が無効と判断されるケースが散見されます。

しかし、他の遺言書と比べて、無効と判断されづらいと言われている公正証書遺言であっても、全く無効とならないわけではありません。

遺言書が無効となるのは、以下の通りです。

①方式に不備がある場合

民法で定められた方式によって作成されたものでなければなりません。

例えば、自筆証書遺言では、全文・日付・氏名の自署と押印が必要です。(財産目録を添付する場合、その目録はパソコン等での作成も可能ですが、各ページに署名と押印が必要)

②内容が不明確な場合

内容が確定できないような遺言は無効となります。

しかしながら、遺言者の意思を尊重する為、可能な限り有効となるような解釈がなされており、裁判例においても、諸般の事情から遺言者の意思を解釈して内容を確定させ、有効とする判断がされています。

③内容が公序良俗に違反している場合

公序良俗とは、社会的妥当性が認められる道徳観のことであり、民法ではこれに反する内容を持つ法律行為(犯罪等)を行うことを内容とする契約等は無効とされます。

遺言において公序良俗違反が争われることが多いのは、不貞相手に遺贈するような場合です。

④遺言能力がない状態で作成された場合

認知症であったことなどから、遺言能力がない状態で作成された場合にも無効となります。

ただし、認知症であったからといって当然に無効となるわけではなく、明確な定義は存在しないものの、遺言能力の有無は、年齢や病状を含めた心身の状況や遺言の内容、遺言時やその前後の言動などの諸事情を総合的に考慮して判断されます。

⑤錯誤、詐欺、強迫により遺言がなされた場合

錯誤、詐欺、強迫による遺言は取り消すことが可能です。

しかし、遺言者が亡くなっていることにより、主張・立証が困難である為、実際には問題となることは少ないといえます。

⑥偽造された場合

偽造されることにより、遺言書は“自署”されたものではなくなります。

また、遺言書を偽造した者は相続欠格となり、相続人ではなくなりますのでご注意ください。

 

尚、自筆証書遺言保管制度の利用がない場合の自筆証書遺言及び秘密証書遺言は、発見後に勝手に開封してはならず、家庭裁判所による検認が必要ですが、検認前に開封することで遺言書自体が無効となるわけではなく、5万円以下の過料に処されるにとどまります。

 

〇無効となった判例

公正証書遺言が無効となった裁判例として、以下のようなものがあります。

◆遺言者は、全財産を妻に相続させる旨の自筆証書遺言を作成していたが、その後、全財産を妹に相続させる旨の公正証書遺言を作成し、その公正証書遺言の有効性が問題となる。

裁判所は、遺言者は、自筆証書遺言作成後に難治性の退行期うつ病に罹患し、公正証書遺言が作成された当時の被相続人の症状は認知症とみるほかないこと、被相続人の妻が生存中であるにもかかわらず、妹に全財産を相続させる旨の遺言を作成することについて合理的理由が見当たらないことなどの事実から遺言能力を否定し、公正証書遺言を無効と判断。

◆遺言者が公正証書遺言作成時に、遺言内容を公証人から確認されたのみであり、「口授」を欠いたことにより、遺言者自身が遺言内容語っていないことから無効であると判断。

◆遺言者は、遺言作成の約2か月前に実施された改訂長谷川式簡易知能評価スケールの検査結果が9点であり、その1か月後には認知症と診断されていた。

そのような状況で作成された公正証書遺言について、認知症の専門病院の医師の意見書や証人尋問の結果から、遺言の能力がなかったものとして、公正証書遺言を無効と判断。

 

〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

残された遺言書の内容に納得できない場合、相続人に知らせずに作成した遺言書などは、遺言無効の主張がなされる可能性があります。

特に形式に問題がある場合などには、遺言無効・遺産分割のやり直しが認められるケースもあり、遺言無効確認の訴訟提起等にも、時効は設けられていません。

遺言無能力による無効が主張される可能性がある場合には、医師の診断書の保管、本人の日記など、遺言作成時に遺言者自身に遺言能力があったと認めるに足る証拠資料を多く残しておく等、対策が重要となります。

 

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